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ノーベル賞受賞技術を活用した、超省エネ電気自動車の色は何色?
環境省は、青色発光ダイオード(LED)に代表されるノーベル賞受賞技術である窒化ガリウム(GaN)を用いたパワーエレクトロニクスで駆動する、世界初の超省エネ電気自動車のコンセプトカー「All GaN Vehicle(AGV)」を、東京モーターショー(10月24日~11月4日)で初公開しました。
BASFのコーティングスカラーデザインチームとR-M補修塗料チームは、このプロジェクトに参加し、艶消しの「天野ブルー」を名古屋大学の研究チームとともに開発しました。この色は、GaNを活用した電気自動車のユニークな技術を表現し、LEDでノーベル物理学賞を受賞された天野 浩教授にちなんで名付けられました。
次世代パワー半導体材料として期待されているGaN技術を電気自動車の各機器に応用したこの次世代モビリティは、天野教授指導の下、多くの研究機関と企業のオープンイノベーション体制で開発が行われました。このコンセプトカーは、快適なキャビン空間を実現する電磁ノイズを低減、車のデザイン自由度を飛躍的に向上させる、電池パック数の削減や電気系統の小型化を可能にするとともに、20%のCO2排出量削減を目指しており、乗客、車の作り手、地球にやさしい車として注目を集めています。
皆さんは、この画期的な新しい電気自動車にどんな色を期待しますか?名古屋大学の研究チームは、この次世代モビリティにさらなるインパクトを与える自動車塗料を探していました。AGVは、LED のベースとなった技術を用いた自動車のため、これまでにない青色での表現ができないかと考えていました。そこで、BASFの塗料チームに白羽の矢が立ち、これまで培ってきた技術と豊富なカラーデータを活かして、LEDの青色をイメージした新色を開発しました。
これまでにない青ということで、チームは、その珍しいカラーを際立たせるべく、R-Mの業界を牽引する艶消しクリヤーコートシステムの高質感な効果を活用しました。高い正確度と再現性を実現し、近未来の自動車にふさわしい革新的な高質感を達成することができたのです。BASFコーティングス事業部カラーデザインセンター アジア・パシフィックチーフデザイナーの松原千春は、次のように述べています。「艶消し色は、視覚と触覚から色を感じてもらえる自動車では新しい質感ですが、光沢意匠に比べ、平たんに見えてしまう欠点もあります。今回は、ノーベル賞を受賞した青色LED技術を連想させる未来感と先進性、かつ斬新なコンセプトモデルを最も魅力的な立体感で見せられる艶消しブルーを目指しました。BASFの自動車補修用塗料部の豊富な知見と、BASFのプレミアム補修塗料ブランドであるR-M塗料の高度な品質により実現しました。」
R-Mの艶消しクリヤーコートシステムが提供する正確なマッチング技術によって、希望する艶消しの度合で、コストのかさむ再加工なしに完璧な艶消し感を実現することができます。
開発責任者の名古屋大学 塩崎特任教授は「今回、東京モーターショーでのお披露目とあり、画期的な自動車を、さらに際立たせる車体の色が必要でした。今回実現した艶消しの青色「天野ブルー」に、多くの来場者がひきつけられ、より多くの方に見ていただく一因となったと思います。BASFの確かな塗装技術により、実現することができました」と話しています。
東京モーターショーは、前回を超える130万人の来場者を達成。多くの展示の中でも、天野ブルーのAGVがひときわ目を引く展示となっていました。