BASFとIRRI、イネの栽培システムにおけるカーボンフットプリント削減に向け提携
この資料は、BASFおよびIRRIが2024年1月31日にドイツで発表した英語のプレスリリースを、BASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。
- BASFとIRRIは、気候変動に配慮した農業の推進と、イネの栽培システムにおける炭素集約度の改善を目指した複数のオプションを研究
- 本共同研究はフィリピン、ラグナ州で複数シーズンにわたって実施
BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)とInternational Rice Research Institute
(国際稲研究所、本部:フィリピン・ラグナ州ロスバニョス、以下「IRRI」)は、イネの栽培システムにより排出される温室効果ガス(GHG)を削減するための科学的提携を結びました。「OPTIMA Rice(Optimizing Management for Reduction of GHG in Rice)」と名付けられたIRRIとの取り組みは、2030年までに作物生産量1トン当たりのCO2e(二酸化炭素換算値)排出量を30%削減するというBASFの目標を支えるものです。この共同での取り組みは、フィリピンの複数の稲作シーズンにわたって計画されており、両組織のイネ研究拠点があるラグナ州で実施される予定です。
イネは、世界で最も幅広く生産されている五大穀物*1のひとつであり、毎日約30億人*2が消費しています。イネは世界中で栽培されていますが、アジアで最も多く生産されています。
しかし、その地理的な広がりと典型的な水稲耕作の手法ゆえに、農業場面における温室効果ガス総排出量の約10%*3を世界の水稲生産が占め、これは主に、水稲が継続的に湛水することが原因と考えられています。このようにカーボンフットプリントが大きいため、イネの栽培システムは農作物生産の中でGHG排出量を削減できる可能性が最も高いと推定されてい
ます*4。
これを受けて、BASFとIRRIは、イネ栽培システムにおける気候変動に配慮した農業に関連する、複数のトピックについて調査する予定です。これには、直播イネの品種、窒素固定剤、施肥・残渣管理、それぞれのイネ生産者にテーラーメイドした新しい防除ソリューション、交互湿潤乾燥管理(AWD)のような水削減技術などが含まれます。さらにIRRIは、温室効果ガス排出量を推定するための新しい計算アルゴリズムを含む、生態生理学モデルORYZA(オリザ)を本プロジェクトに適用するため、さらなる改良に着手しました。BASFは自社のAgBalance™(アグバランス)ツールを使用してGHG排出強度を推定し、IRRIと協力して自社製品のフィールドテストを行い、質の高い農業データとGHGデータを取得する予定です。BASFとIRRIはともに、フィリピンをはじめとするアジアのイネ生産地域における、イネの気候変動緩和と適応策に関する科学的理解を深めるモデルをさらに開発し、適用することを目指しています。最終的には、イネ生産者の生産システムにおける脱炭素化を支援することを目標にしています。
BASFアグロソリューション事業本部のグローバルマーケティング担当シニアバイスプレジデントであるMarko Grozdanovic(マルコ・グロズダノビッチ)は次のように述べています。「農業における炭素排出量削減に向けて大きな前進を遂げるには、新しいテクノロジーやツールをどのように組み合わせれば、より気候変動に配慮した農業を実践できるかを評価する必要があります。イネという主要作物には大幅な炭素削減の可能性があるため、私たちはIRRIのイネ生産システムに関する専門知識活用を通じて連携していきます」。
IRRIのリサーチディレクターであり、持続可能なインパクト部門を率いるBas Bouman氏は、次のように述べています。「今回の提携は、メタンやその他の温室効果ガス削減のための大きなチャンスをもたらし、農業者の価値を創造し、アジア、とりわけフィリピンにおけるイネの生産性向上に貢献することでしょう」。
*1 https://www.fao.org/3/cc3751en/cc3751en.pdf (英語)
*2 https://www.fao.org/3/X2243T/x2243t08.htm (英語)
(英語)
*4 https://cfpub.epa.gov/ghgdata/nonco2/usreports/#page1 (英語)
※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。
■BASFのアグロソリューション事業本部について
私たちのすべての行動の理由は、「農業が、好きだから」。農業は、急速に増加する人口に対応するため、健康的で手頃な価格の食料を安定的に供給するとともに、環境負荷を低減することが求められています。そのため私たちは提携パートナーや農業の専門家と協力し、あらゆるビジネス上の判断を持続可能性(サステナビリティ)を基準に行っています。強力な研究開発パイプラインに投資し、革新的なアイデアから実用的なソリューションを生み出しています。当社のソリューションは、さまざまな作物システム向けに設計されています。種子、作物の形質、化学農薬、デジタルツールとサステナビリティのアプローチを組み合わせ、農業者・生産者とバリューチェーンにおけるステークホルダーが最高の結果を出せるよう支援しています。研究所、生産現場、オフィス、製造拠点のチームと共に、農業の持続可能な未来を築くために全力を尽くしています。2023年の売上高は101億ユーロでした。アグロソリューション事業部についての詳細はwww.agriculture.basf.com/jp または各種ソーシャルメディアをご参照ください。
■日本のBASFについて
BASFは1888年より日本市場のパートナーとして事業活動を行っています。国内にも生産および研究開発拠点を構え、自動車、建設、医薬品・医療機器、電機・電子、包装材、パーソナルケア・ホームケア、農業・食品など、ほぼすべての産業に製品とソリューションを提供し、国内およびグローバル市場で活躍する日本のお客様の成功に貢献しています。2023年の日本での売上高は約18億ユーロ(約2,691億円)、従業員数は920人(2023年12月末現在)です。日本のBASFに関する詳しい情報はwww.basf.com/jp をご覧ください。
■BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、経済的な成功とともに環境保護と社会的責任を追及しています。また、全世界で約112,000人の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献しています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2023年のBASFの売上高は689億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、https://www.basf.com をご覧ください。
■国際稲研究所(International Rice Research Institute, IRRI)について
IRRIはコメ生産から消費までに関わる人々の貧困と飢餓の撲滅に取り組んでいます。さらに、多くのパートナーとともに、稲作農家と消費者の健康と福祉の向上、気候変動に直面する状況での環境持続性促進、稲作における女性と若者のエンパワーメントを目指しています。
IRRIはCGIARのメンバーです。
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