February 27, 2023

BASF、厳しい市況でも力強さを発揮し、競争力強化のための施策を実施

  • 売上高は873億ユーロ(前年比11.1%増)
  • 特別項目控除前営業利益は69億ユーロ(同11.5%減)
  • 営業活動によるキャッシュフローは77億ユーロ(同6.4%増)、フリー・キャッシュフローは33億ユーロ(同10.2%減)
  • 2022事業年度の配当金は1株当たり3.40ユーロを提案(2021年は1株当たり3.40ユーロ)
  • 欧州でのコスト削減とルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント構造最適化のための具体策を提示

2023年の見通し:

  • 売上高は840億ユーロ~870億ユーロを見込む
  • 特別項目控除前営業利益は48億ユーロ~54億ユーロとなる見通し

 

BASF(本社:ドイツルートヴィッヒスハーフェン)はこのほど、2022年の業績を発表しました。BASFグループは、ウクライナ紛争の影響、とりわけ原材料やエネルギー価格の高騰に見舞われた2022年の厳しい市場状況でも力強さを示しました。BASF 取締役会会長Dr.マーティン・ブルーダーミュラーは、最高財務責任者のDr.ハンス‐ウルリッヒ・エンゲルとともに2022年度の決算発表において説明を行いました。BASFの売上高は前年比11.1%増の873億ユーロとなりました。売上高の伸びは、主に原材料やエネルギー価格の高騰により、ほぼすべての事業セグメントで価格が上昇したことによるものです。マテリアル事業セグメントおよびケミカル事業セグメントで最大の価格上昇がありました。また、BASFグループ全体では、販売量の大幅減が売上の伸びを鈍化させました。販売量の減少は主に、サーフェステクノロジー事業セグメントおよびケミカル事業セグメントの売上減に起因しています。

 

特別項目控除前営業利益(EBIT)は予想の範囲内ではあったものの、前年を11.5%下回る69億ユーロでした。これは、ケミカル事業セグメントおよびマテリアル事業セグメントの利益貢献が大幅に減少したことによるものです。両事業セグメントともに、利益率と販売量が低下し、固定費は増加しました。

 

対照的に、他のすべての事業セグメントでは特別項目控除前営業利益が増加しました。アグロソリューション事業セグメントでは、販売量の増加と価格の上昇に支えられて売上が好調に推移したことを主因に、特別項目控除前営業利益が大幅増となりました。ニュートリション&ケア事業セグメントも、主に価格変動にともなう利益率の上昇により、大幅増益を達成しました。サーフェステクノロジー事業セグメントは、とりわけ自動車触媒や電池材料事業の利益貢献が高まったことから、大幅増益となりました。また、コーティングス事業本部の価格上昇と販売量の増加も、同事業セグメントの増益を支えました。インダストリアル・ソリューション事業セグメントでは、価格変動にともなう利益率の上昇で、特別項目控除前営業利益は微増となりました。「その他」に分類される事業の特別項目控除前営業利益はわずかに改善しました。

 

2022年、BASFグループの事業利益は、世界で総額32億ユーロの追加エネルギーコストが発生したことによって圧迫されました。コスト増加の約84%は欧州で発生し、主にルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント拠点が影響を受けました。天然ガス価格の上昇が、全体のエネルギーコスト上昇の69%を占めました。

 

EBIT(営業利益)に含まれる特別項目は、前年のマイナス91百万ユーロに対し、2022年にはマイナス3億30百万ユーロとなりました。2022年のBASFグループのEBIT(営業利益)は、前年を大幅に下回る65億ユーロでした。この数字には、持分法適用会社からの利益が含まれています。持分法適法会社からの利益は2億89百万ユーロ減少し、3億86百万ユーロとなりました。

 

保有するWintershall Dea株式に対する減損処理額が非常に高かったことが、BASFグループの株式保有による純利益にマイナスの影響を与えました。株式保有による純利益は、前年の2億7百万ユーロから、マイナス49億ユーロとなりました。この大幅な減少は主に、保有するWintershall Dea株式の、現金に影響を及ぼさない減損処理により、約63億ユーロの特別費用が発生したことによるものです。これはとりわけ、Wintershall Deaのロシア探鉱・生産活動の連結除外によるもので、それを受け、Wintershall Deaのロシア保有株式に対する再評価が行われました。Wintershall Deaの欧州ガス輸送事業については、保有するノルドストリームの株式およびノルドストリーム 2プロジェクトへの資金提供に関する完全な減損を含め、さらなる評価損を計上しました。Wintershall Deaの2022年の事業利益貢献は、前年の3億35百万ユーロから、約15億ユーロに増加しました。

 

株式保有による純利益が大幅に減少した結果、BASFグループの純利益は、2021年の55億ユーロに対し、マイナス6億27百万ユーロとなりました。

 

2022年第4四半期の BASFグループの売上高と利益の推移

BASFグループの2022年第4四半期の売上高は、主に販売量の減少により、前年同期比2.3%減の193億ユーロとなりました。同四半期の特別項目控除前営業利益は、前年同期比69.6%減の3億73百万ユーロとなりました。

 

EBITに含まれる特別項目は、前年同期のプラス1百万ユーロに対し、マイナス2億54百万ユーロでした。特別項目は主に、ルートヴィッヒスハーフェンの工場に関する現金に影響を及ぼさない減損処理に関連するものです。2022年第4四半期のEBITは、90.3%減の1億19百万ユーロとなりました。純利益は、前年同期の8億98百万ユーロに対し、マイナス48億ユーロでした。この減少は、保有するWintershall Deaの株式に対する減損処理によるものです。

 

2022年通期および第4四半期のBASFグループのキャッシュフロー

2022年の営業活動によるキャッシュフローは、前年の72億ユーロに対して77億ユーロでした。同年のフリー・キャッシュフローは、前年の37億ユーロに対し、33億ユーロでした。

2022年第4四半期の営業活動によるキャッシュフローは、前年同期比で11億ユーロ改善し、45億ユーロとなりました。同四半期のフリー・キャッシュフローは、前年同期比7億49百万ユーロ増の26億ユーロでした。

 

1株当たり3.40ユーロの配当を提案

BASF取締役会および監査役会は年次株主総会において、前年度と同額の1株当たり3.40ユーロの配当を提案します。BASFの株式は、2022年末の株価に基づくと約7.3%という高い配当利回りを提供します。BASFはこれにより、株主の皆様に総額30億ユーロをお支払いします。

 

BASFグループの2023年の見通し

ウクライナ情勢、欧州における原材料やエネルギー価格の高騰、物価や金利の上昇、インフレ、新型コロナウイルスの大流行など、2022年を通じて生じた高い不確実性は、2023年も継続するでしょう。これらの要因はすべて、全世界における需要にマイナスの影響を与えます。したがって、BASFは2023年の世界経済について、1.6%という緩やかな成長にとどまると予想しています(2022年は3.0%)。化学品生産に関しては、全世界で2.0%の成長を見込んでいます(2022年は2.2%)。また、年平均ブレント原油価格は1バレル90ドル、平均為替レートは1ユーロ1.05ドルになると予想しています。

 

これらの想定に基づき、BASFグループの2023年の売上高は840億ユーロ~870億ユーロになると見込んでいます。特別項目控除前営業利益は、48億ユーロ~54億ユーロに減少する見通しです。2023年上半期は低調に推移する一方、下半期は中国を中心とした景気回復効果により利益環境が改善すると予想しています。

 

BASF、欧州でのコスト削減とルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント構造最適化のための施策を策定

Dr.マーティン・ブルーダーミュラーは今回、欧州を中心とした具体的なコスト削減策や、ルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント拠点における生産構造の最適化を発表し、次のように述べました。「欧州は、過度な規制、緩慢で官僚的な許認可プロセス、そしてとりわけ、大半の生産におけるコスト高により、ますます競争力が弱くなってきています。こうしたすべての要因により、他地域に比べ欧州市場において成長が鈍化し、エネルギー価格の高騰が、欧州における収益性と競争力にさらなる影響をもたらしています。」

 

2024年末までに年間5億ユーロ超のコストを削減

2023〜2024年に実施されるコスト削減プログラムは、欧州、特にドイツにおけるBASFのコスト構造を適正化し、変化する事業環境に適応することに重点を置いています。このプログラムの完了時には、非製造分野、すなわちサービス部門、事業部門、研究開発部門およびコーポレートセンターにおいて、年間5億ユーロ以上のコスト削減が見込まれています。コスト削減の約半分はルートヴィッヒスハーフェン拠点で実現する予定です。

 

このプログラムには、サービスの集約化、部門管理構造の簡素化、ビジネスサービスの最適化、研究開発活動の効率化などの施策が含まれます。これらの施策により、全世界で約2,600のポジションに実質的な影響が生じると予想されますが、この数字には新たなポジションの創出も含まれます。

 

ルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント拠点最適化により、2026年末までに年間2億ユーロ以上の固定費削減を実現する見込み

BASFは、コスト削減プログラムに加えて、ルートヴィッヒスハーフェンの拠点が長期的に激化する競争に対応できるよう、構造改革も実施しています。ブルーダーミュラーは、次のように述べています。「158年目を迎えたルートヴィッヒスハーフェン拠点の未来を信じて、このような取り組みを行っています。私たちはここで働く人たちを信じ、欧州という地域を信じています。今後もこの拠点に注力し、勇気を持ってさらに発展させていきます。」

 

この数か月間、BASFはルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント構造を徹底的に分析しました。その結果、必要な対策を講じながら、収益性の高い事業を継続させる方法が示されました。ルートヴィッヒスハーフェンにおける主な変更点の概要は以下の通りです。

 

-カプロラクタム工場、2つのアンモニア工場のうち1つおよび関連する肥料施設の閉鎖: ベルギーのアントワープにあるBASFのカプロラクタム工場は、今後の欧州における自社消費需要および市場の需要に対応できる生産能力を備えています。スタンダードアミンやスペシャリティアミン、Adblue®事業などの高付加価値製品は影響を受けず、ルートヴィッヒスハーフェンの第2アンモニア工場を通じて引き続き供給されます。

-アジピン酸の生産能力縮小、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンおよび炭酸ナトリウムの生産工場の閉鎖: フランスのシャランペにあるDomo社との合弁事業によるアジピン酸生産に変更はなく、変化する市場環境においても、欧州での事業継続に十分な生産能力を備えています。シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンはアジピン酸の前駆体であり、炭酸ナトリウムの工場はアジピン酸製造時の副産物を使用しています。BASFは引き続き、ルートヴィッヒスハーフェンにある、前駆体としてアジピン酸を必要とするポリアミド6.6の製造プラントを稼動させます。

-TDI工場、DNTおよびTDA向け前駆体工場の閉鎖: TDIの需要は、特に欧州、中東、アフリカにおいて非常に低調に推移し、予想を大幅に下回っています。ルートヴィッヒスハーフェンのTDIコンプレックスは十分に活用されておらず、経済性の面でも期待に応えているとは言えません。エネルギーコストや光熱費の急激な上昇によって、状況はさらに悪化しています。BASFの欧州のお客様には、ルイジアナ州ガイスマー、韓国麗水、中国上海にそれぞれ工場を有するBASFのグローバル生産ネットワークから、引き続きTDIを安定的に供給します。

 

フェアブント構造の最適化により、同拠点の設備再調達価額の10%、そして製造部門では約700のポジションが影響を受けることになります。ブルーダーミュラーは、次のように述べています。「影響を受ける従業員の大半を、他の工場で雇用できると確信しています。特に、現状で欠員があり、今後数年のうちに多くの従業員が退職することから、幅広い経験を持つ社員を維持することは会社の利益にもかなっています。」これらの施策は2026年末までに段階的に実施され、年間2億ユーロ以上の固定費削減を見込んでいます。

 

この構造改革により、ルートヴィッヒスハーフェンの電力と天然ガスの需要も大幅に減少し、同拠点のCO2排出量は年間約0.9百万トン削減されることになります。これは、BASFの全世界におけるCO2排出量の約4%に相当します。

 

ブルーダーミュラーは、「私たちは、ルートヴィッヒスハーフェンを欧州随一の低排出化学品生産拠点に発展させたいと考えています」と述べています。BASFはルートヴィッヒスハーフェンの拠点において、再生可能エネルギーの供給量のさらなる確保を目指します。今後は、ヒートポンプやよりクリーンな蒸気の生成方法などを活用していきます。また、水電解による水素製造など、CO2を排出しない新技術も導入する計画です。

 

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

 

■BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の3つを同時に果たしています。また、全世界で110,000人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2022年のBASFの売上高は873億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、http://www.basf.com をご覧ください。

 

■将来の予測に関する記述について

本リリースにはBASF経営陣による現時点での推測および予測、ならびに現在入手可能な情報に基づく「将来の予測に関する記述」が含まれています。これらはここに記す将来の進展や業績を保証するものではなく、多くの要因に依存し、様々なリスクと不確実性を含んでいるほか、正確とは限らない仮定に基づいています。本リリースに記載された将来の予測に関する記述に関しては、BASFは更新の義務を負いません。

 

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最終更新February 27, 2023