September 27, 2022

BASF、SABIC、Lindeの3社、世界初の大規模電気加熱式スチーム クラッカー実証プラントの建設を開始

この資料は、BASF本社(ドイツ)が2022年9月1日に発表した英語のプレスリリースを、BASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。

 

  • BASFのルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント拠点(統合生産拠点)のスチームクラッカーに、6メガワットの再生可能な電気エネルギーを投入する実証プラントが 完成

  • 従来のスチームクラッカーと比較して、CO2排出量を90%以上削減の可能性

  • ドイツ連邦経済・気候保護省から助成金を受けたプロジェクト

  • 実証プラントの運転開始は2023年を予定

     

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)と、SABIC社(サビック 本社:サウジアラビア リヤド)、Linde社(リンデ 本社:イギリス サリー)の3社は、世界初の大規模な電気加熱式スチームクラッカーの、実証プラントの建設を開始しました。この新技術は、天然ガスの代わりに再生可能エネルギーを使用することで、化学業界で最もエネルギー集約的な生産プロセスの一つであるスチームクラッキングから排出されるCO2を、現在使用されている技術に比べて、少なくとも90%削減できる可能性があります。

この実証プラントは、BASFのフェアブント拠点(統合生産拠点)にある既存のスチーム クラッカーの1つに完全に統合される予定です。2つの異なる加熱コンセプトをテストし、1時間あたり約4トンの炭化水素を処理し、6メガワットの再生可能エネルギーを消費する予定です。実証プラントの稼働は2023年を目指しています。

BASFとSABICは、このプロジェクトに共同投資し、実証プラントはBASFが運営します。Lindeはこのプロジェクトの設計、調達、建設のパートナーであり、将来的には開発した技術を商業化する予定です。

新規炉技術の開発支援のため、本プロジェクトは、ドイツ連邦経済・気候保護省の「産業界の脱炭素化」資金援助プログラムにより、1480万ユーロの助成金を受けることになりました。このプログラムは、ドイツ国内のエネルギー集約型産業がカーボンニュートラルを達成するための取り組みを支援するものです。

BASF取締役会会長であるDr. マーティン・ブルーダーミュラーは述べています。「BASFの使命はクライメートニュートラル達成であり、膨大なエネルギーを消費するスチーム クラッカーの電化は、ネットゼロへの変革の旅において重要なマイルストーンとなります。ドイツ経済・気候変動対策省からプロジェクトの資金提供を受けたことは、私たちの アプローチが政策立案者によっても支持されている証であり、誇りに思っています。」 

SABICの副会長兼CEOであるユセフ・アルベニャンは、次のように述べています。 「私たちのビジョンは、効率的なカーボンマネジメントを通じて、ビジネスを変革し、世界の緊急課題に取り組むことです。このプロジェクトは、低炭素化プロセスを推進する世界中の石油化学業界にとって、大きな可能性を秘めています。本日共同で発表する建設開始のマイルストーンにより、私たち3社の協力関係が、最終的に循環型炭素経済を通じて温室効果ガスの排出量実質ゼロの世界を実現するための、より多くの協力関係を促進することを期待しています。」

また、Lindeの取締役副社長兼Linde EngineeringのCEOであるユルゲン・ノヴィッキは、次のように述べています。「このプロジェクトは、グローバル企業が技術開発、設計、調達、建設の実行と運営における専門知識を組み合わせることで、いかにうまく協力できるかを実証しています。実証プラントのタイムリーな納入は、石油化学産業が持続可能なソリューションを利用できるようになるための、大きなマイルストーンとなるでしょう。私たちはこの画期的なプロジェクトに参加できることを誇りに思います。」

この実証プラントの目的は、電気を熱源としたオレフィンの連続生産が可能であることを示すことです。このプラントは、2つの加熱コンセプトを並行してテストできるように設計されています。直接加熱は、リアクター内のプロセスチューブに直接電流を流し、間接加熱は、チューブの周囲に配置した発熱体の輻射熱を利用するものです。この2つのコンセプトをテストすることで、顧客や現場のさまざまな要求に柔軟に対応することが出来ます。

基礎化学品の製造において中心的な役割を果たすスチームクラッカーは、炭化水素をオレフィンや芳香族に分解するために、多大なエネルギーを必要とします。一般的には、約850℃のリアクターの中で反応が行われます。現在では、化石燃料を燃焼させることでこの温度に達しています。本プロジェクトでは、このプロセスを電気で動かすことで、CO2排出量の削減を目指します。

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

 

■BASFについて 

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の3つを同時に果たしています。また、全世界で110,000人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2021年のBASFの売上高は786億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、https://www.basf.com をご覧ください。

 

■SABICについて

SABICは、サウジアラビアのリヤドに本社を置く世界的な総合化学企業です。アメリカ、ヨーロッパ、中東、アジア太平洋地域で、化学品、汎用プラスチック、高機能プラスチック、農業資材、金属など、異なる種類の製品を世界規模で製造しています。SABICは、建設、医療機器、包装、農業資材、電気・電子、輸送、クリーンエネルギーなどの主要な最終用途における機会を特定し、開発することでお客様をサポートしています。SABICは2021年に230億SR(61.5億米ドル)の純利益を記録しました。2021年の売上高は1,740億SR(466億米ドル)。2021年末の総資産は3,180億SR(849億米ドル)であった。2021年の生産量は5800万トン。全世界で31,000人以上の従業員を擁し、約50カ国で事業を展開しています。イノベーションと創意工夫の精神を育むSABICは、10,090件の特許と申請中の特許を持ち、米国、欧州、中東、南アジア、北アジアの5つの主要地域にイノベーションハブを置いて重要な研究資源を有しています。詳しくは、www.sabic.com をご覧ください。

 

■Lindeについて

Lindeは、世界有数の産業用ガスおよびエンジニアリング企業であり、2021年の売上高は310億ドル(260億ユーロ)です。私たちは、お客様をより成功に導き、地球の持続と保護に貢献する高品質のソリューション、テクノロジー、サービスを提供することで、世界をより生産的にするという使命を日々実践しています。Lindeは、化学品・エネルギー、食品・飲料、エレクトロニクス、ヘルスケア、製造、金属、鉱業など、さまざまな最終市場に製品を供給しています。Lindeの産業ガスは、病院での救命用酸素から、電子機器製造用の高純度ガスや特殊ガス、クリーン燃料用の水素など、数え切れないほどの用途で使用されています。またLindeは最先端のガス処理ソリューションを提供し、お客様の事業拡大、効率向上、排出量削減をサポートしています。同社とその製品・サービスに関する詳細については、www.linde.com をご覧ください。

 

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ルートヴィッヒスハーフェンにある建設中の世界初の電気加熱式スチームクラッカーの実証プラントにて:SABICの副会長兼CEOユセフ・アルベニャン、BASF取締役会会長であるDr. マーティン・ブルーダーミュラー、Lindeの取締役副社長兼Linde EngineeringのCEOであるユルゲン・ノヴィッキ
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ルートヴィッヒスハーフェンにある世界初の電気加熱式スチームクラッカーの実証プラントの3Dグラフィック
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最終更新September 27, 2022